「愛用のハイエンドギター、サウンドは最高だけど、もう少しだけ…」
所有する喜びと素晴らしい演奏性。しかし、どこか物足りなさを感じていませんか?その答えは、もしかしたら「ピックアップ交換」にあるのかもしれません。しかし、高価なギターに手を入れるのは勇気がいるもの。「本当にやるべきか」「失敗したらどうしよう」と悩むのは当然です。
こんにちは。長年ギターカスタマイズに携わり、数々のギターのポテンシャルを引き出すお手伝いをしてきた専門家の山田と申します。この記事では、ハイエンドギターのピックアップ交換について、やるべき人とやらない方がいい人の特徴を、2026年1月現在の最新情報も交えながら、徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたがピックアップ交換に踏み出すべきかどうかの明確な判断基準が手に入ります。
目次
ハイエンドギターのピックアップ交換、その前に知っておきたい基礎知識
ピックアップ交換を検討する前に、まずは基本的な知識をおさらいしましょう。なぜピックアップがそれほどまでに重要なのか、そしてハイエンドギターに搭載されているピックアップがどのようなものなのかを理解することが、後悔しない選択への第一歩です。
ピックアップとは?ギターサウンドの心臓部
ピックアップは、エレキギターの弦の振動を電気信号に変換する「マイク」の役割を担う、まさにサウンドの心臓部です。ギター本体の木材や構造が持つ「鳴り」を、どのような音色として出力するかを決める重要な要素であり、ピックアップの種類や性能がギターのキャラクターを大きく左右します。
ピックアップは「拾い上げる(pick up)」という語源の通り、弦振動を拾い上げ、電気信号に変換し、アンプに送り出す部品です。エレキギターの「エレキ」の部分において最も重要な部品であり、ピックアップの付いていないギターはエレキギターと呼ぶことができません。
出典: ギターピックアップ完全ガイド – 種類から選び方・交換方法まで【エレキギター博士】
なぜピックアップ交換が音を変えるのか?その仕組みを解説
ピックアップは、磁石とコイルで構成されており、「電磁誘導」という原理で弦の振動を電気信号に変えています。この磁石の種類(アルニコ、セラミックなど)やコイルの巻き数、形状によって、拾い上げる音の特性が大きく変わります。例えば、コイルの巻き数が多ければパワフルなサウンドに、少なければ繊細なサウンドになる傾向があります。このように、ピックアップの構造を変えることで、音の明るさ、太さ、出力などを劇的に変化させることができるのです。
ハイエンドギターに標準搭載されているピックアップの品質
20万円を超えるようなハイエンドギターには、そのギターのコンセプトに合わせて、メーカーが最適と判断した高品質なピックアップが標準で搭載されています。SuhrやTom Andersonといったブランドは自社でピックアップを開発しており、ギター本体とのマッチングは完璧と言えるでしょう。そのため、多くの場合は交換の必要がないほど完成されたサウンドを持っています。しかし、それはあくまで「メーカーが提案する最高の音」であり、必ずしも「あなたにとって最高の音」とは限りません。
実際に、ハイエンドギターの購入を検討している方であれば、新潟でハイエンドギターを購入する際の選択肢や、各地域での販売店情報も参考になるでしょう。新潟を含む各地域には、ハイエンドギターの品揃えが豊富な専門店があり、実際に複数のモデルを試奏してから購入することが可能です。こうした販売店での経験は、自分にとって本当に必要なハイエンドギターを見極めるのに役立ちます。
ピックアップ交換をやるべき人、その5つの特徴
では、どのような人がピックアップ交換を検討する価値があるのでしょうか。具体的な5つの特徴を挙げます。
1. 出したい音の方向性が明確にある
「もっと抜けるような高音が欲しい」「ヴィンテージライクな枯れたサウンドにしたい」など、具体的なサウンドの目標がある方は、ピックアップ交換による恩恵を最も受けやすいでしょう。現在のピックアップではどうしても出せない音の方向性が明確であれば、交換は理想のサウンドへの最短ルートとなり得ます。
2. 現在のギターの音に満足していない
ギターのルックスや演奏性には満足しているものの、サウンドだけがどうしても気に入らない、というケースです。特に中古で購入したハイエンドギターの場合、前の所有者の好みに合わせてピックアップが交換されている可能性もあります。自分の音楽性に合わないと感じるなら、交換を検討する価値は十分にあります。
3. ギター本体のポテンシャルを最大限に引き出したい
「このギターはもっと鳴るはずだ」と感じる場合、ピックアップがそのポテンシャルを最大限に引き出せていない可能性があります。ギター本体の持つ優れた音響特性を、より的確に、あるいはより魅力的にアウトプットするために、ピックアップを交換するというアプローチは非常に有効です。
4. 複数のギターサウンドを1本で使い分けたい
近年のピックアップ技術の進化は目覚ましく、1つのピックアップで複数のサウンドキャラクターを切り替えられるモデルも増えています。例えば、FishmanのFluenceシリーズは、ヴィンテージサウンドとモダンなハイゲインサウンドをスイッチ一つで切り替えることが可能です。これにより、ライブやレコーディングで多彩な音色を求めるギタリストにとって、ギター1本で対応できる幅が大きく広がります。
5. 純正パーツを大切に保管できる
後述しますが、ハイエンドギターのピックアップを交換すると、リセールバリュー(再販価値)が下がる可能性があります。しかし、取り外した純正のピックアップを大切に保管しておけば、ギターを売却する際に元に戻したり、純正パーツとして一緒に査定に出すことで、価値の低下を最小限に抑えることができます。この点を理解し、適切にパーツを管理できる方は、安心して交換に踏み切れるでしょう。
ピックアップ交換をやらない方がいい人、その5つの特徴
一方で、ピックアップ交換が必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。以下のような方は、一度立ち止まって考えることをお勧めします。
1. 交換の目的が曖昧
「なんとなく音を良くしたい」といった漠然とした理由での交換は、失敗する可能性が高いです。目的が曖昧なままでは、数多あるピックアップの中から最適なものを選ぶことは困難です。結果的に、交換前より音が悪くなったと感じてしまうことにもなりかねません。
2. 純正の音に満足している
前述の通り、ハイエンドギターには元々高品質なピックアップが搭載されています。そのサウンドに満足しているのであれば、無理に交換する必要は全くありません。メーカーが時間とコストをかけて作り上げた最高のバランスを、あえて崩してしまうリスクを冒す必要はないでしょう。
3. リセールバリューを重視する
将来的にギターを売却する可能性が高い方は、ピックアップ交換は慎重になるべきです。一般的に、ギターは純正の状態が最も高く評価されます。特に人気の高いモデルやヴィンテージギターの場合、パーツが交換されていると価値が大幅に下がってしまうことがあります。
改造ギターの買取価格が安くなる理由は、大きく分けると「パーツが純正品でない」「ザグリ工事によって本体が純正品の状態から遠い」の2つが考えられます。
出典: 傷あり・弦なし・ネック折れ・改造・付属品なしギターの買取チェックポイント – 楽器の買取屋さん
4. ギター本体への加工に抵抗がある
ピックアップのサイズや形状によっては、ギター本体の木部を削る「ザグリ加工」が必要になる場合があります。一度加工してしまうと元に戻すことはできません。愛器に傷をつけたくない、オリジナルの状態を保ちたいという方は、無加工で取り付けられるピックアップを選ぶか、交換自体を見送るのが賢明です。
5. アンプやエフェクター、弾き方で解決できる可能性がある
ギターのサウンドは、ピックアップだけでなく、アンプ、エフェクター、シールド、そしてギタリスト自身のピッキングニュアンスなど、様々な要素が複雑に絡み合って作られます。もしサウンドに不満がある場合、ピックアップ交換の前に、まずはアンプのセッティングを見直したり、新しいエフェクターを試したり、自身の弾き方を研究してみることで、問題が解決するケースも少なくありません。
【2026年最新】ハイエンド向けピックアップのトレンドとおすすめメーカー
現在のピックアップ市場は、伝統的なサウンドを追求する動きと、革新的な技術を取り入れる動きが共存しています。ここでは最新のトレンドと、ハイエンドギターユーザーにおすすめのメーカーをご紹介します。
最新技術の動向:Fishman Fluenceの衝撃
2026年現在、ピックアップ市場で最も注目されている技術の一つが、Fishman社の「Fluence」テクノロジーです。従来のアナログなコイル巻きとは全く異なるアプローチで製造され、ノイズが極めて少なく、かつ複数のサウンドキャラクター(Voice)を切り替えられるのが最大の特徴です。これにより、ハムバッカーでありながらクリアなシングルコイルサウンドを出すといった、これまでにない多様性を実現しています。アクティブピックアップ市場では、長年王者であったEMGのシェアを奪う勢いを見せています。
おすすめメーカーとモデル
| メーカー | 特徴 | 価格帯の目安 |
|---|---|---|
| Seymour Duncan | 業界のスタンダード。ヴィンテージからモダンまで幅広いラインナップで、品質とコストパフォーマンスに優れる。 | 1万円台~ |
| Bare Knuckle | イギリス製ハンドメイド(手巻き)ピックアップ。非常に高価だが、そのサウンドは多くのトッププロを魅了している。 | 3万円台~ |
| DiMarzio | パワフルでありながらも、歪ませても音が潰れない解像度の高さが魅力。特にロック系のギタリストに人気。 | 1万円台~ |
| EMG | アクティブピックアップの代名詞。ローノイズでクリア、パワフルなサウンドはメタル系の定番。 | 1万円台~ |
| Fishman | Fluenceシリーズで市場を席巻。ノイズレスと多機能性を両立した、まさに現代のピックアップ。 | 2万円台~ |
交換にかかる費用と注意点
ピックアップ本体の価格は1個1万円台から、高級なものでは5万円を超えるものもあります。それに加え、楽器店に交換を依頼する場合、工賃として1個あたり5,000円~15,000円程度が相場です。自分で交換すれば工賃はかかりませんが、ハンダ付けの技術が必要であり、配線を間違えると正常に音が出なかったり、ノイズの原因になったりするため、自信がない場合はプロに任せるのが安心です。詳しくは、サウンドハウスのブログ記事なども参考に、必要な知識を事前に得ておくと良いでしょう。
まとめ
ハイエンドギターのピックアップ交換は、あなたのギターライフをより豊かにする可能性を秘めた、魅力的なカスタマイズです。しかし、それは同時にリスクも伴う諸刃の剣でもあります。
重要なのは、「何のために交換するのか」という目的を明確にすることです。出したいサウンドが明確で、現在のギターに物足りなさを感じているのであれば、それは交換に踏み切る良いタイミングかもしれません。一方で、目的が曖昧であったり、リセールバリューを気にするのであれば、一度立ち止まって他の方法を検討するべきでしょう。
この記事が、あなたの決断の一助となれば幸いです。最高のサウンドを追求する旅に、終わりはありません。じっくりと考え、あなたにとって最良の選択をしてください。



